泣ける映画 或いは シーン – 「ひまわり」他

himawari大好きな映画、心が震えるような映画と、そこまで好きなわけではないけれど何故かあるシーンにくると単純に涙腺がゆるんでオロオロ泣いてしまう映画って違いますよね。若いころはあまり泣かなかったのですが、年齢を重ねてくるとどうもダメです。そこで今日は「私を泣かせる映画(或いは『シーン』 と言ったほうがよいでしょうか)」を列挙してみましたので、「映画で泣きたいなあ」(最近ストレス緩和になんだか流行っているようですねえ…)と思っている人はぜひどうぞ。(注:いわゆる”ネタバレ”的な記述もありますが、恐らく見る上で差し支えのない作品だと思います)

Grave of the Fireflies – 火垂るの墓

まずは神戸出身の作家・野坂昭如氏の小説に基づき高畑勲氏が監督したアニメーション作品「火垂るの墓」。風景の描写がかなり本物に忠実で、摩耶・六甲山系の山並みなどは大阪へ行くときにいつも見ている山とまったく同じです。これに関しては一度見ると、どのシーンで泣かされるかというよりも、冒頭のタイトルが出た段階で既に「おおお」と泣きそうになります。だからつらいからもう見ません… たいてい毎年終戦記念日前後にテレビで放送されますが、イケズなうちの姉はすぐに「火垂るの墓、やっとうで」と、電話かメールでわざわざ知らせてくれます…

ところで、冒頭シーンで清太が三宮駅構内で行き倒れになりますが、節子が亡くなった後、西宮から三宮まで一体どうやって行ったのかな…(原作を読めばわかるのでしょうか)

I Girasoli – ひまわり

つぎは「自転車泥棒」をてがけたイタリア・ネオリアリズムの巨匠ビットリア・デ・シーカ監督の「ひまわり」。筋書きはもう説明しません。号泣シーンはソフィア・ローレン扮するジョバンナが戦争で亡くなったと知らされた夫アントニオ(マルチェロ・マストロヤンニ)をソ連に捜しに行き、旅の果てにある村で若くてとても可愛らしいロシア人女性にアントニオの写真を見せるところから始まります。二人の女はお互い言葉はわからないけれど、その写真を見た瞬間に走る緊張感からともに状況を理解します(冷たい火花が…)。この後がつらいんです。部屋に案内されるジョバンナ。そこには明らかに幸せな夫婦の生活があふれるモノが… そこにいた小さな女の子はアントニオと同じ黒髪です。その女性は金髪。すべてを理解し泣き崩れるジョバンナ…あああ、こちらも号泣。一度これで条件付けされると、ヘンリー・マンシーニのあの音楽を聴いただけで泣きそうになります。

ちなみに「自転車泥棒」では私は泣きません… とても好きな映画ですが、そのあまりの「リアリズム」にラストは痛々しすぎて呆然としてしまいます…(宮本輝氏の小説「泥の河」を読んだときにも同じような感覚に襲われました…)

Les Uns et Les Autres – 愛と哀しみのボレロ

最後は「男と女」で有名なクロード・ルルーシュ監督作品「愛と哀しみのボレロ」。これは、もちろん、全体としても大好きな映画です。私が号泣してしまうシーンは2箇所あります。

まずは強制収容所でのユダヤ人のピアニストとバイオリニスト夫婦の運命。台詞は一切ありません。(明らかに)ガス室へ連れていかれる男たち、その中には夫の姿が。音楽家ということで、ガス室送りにされる人々に聞かせるためにバイオリンを演奏させられる妻。これらのカットが悲しいバイオリンの音を背景に交互に巧みに映し出されます… ああ、もうこれは反則です!これが泣かずにおれましょうか!?

次はそれから40年ほどのち。ユダヤ人夫婦には実は強制連行当事、男の子の赤ちゃんがいました。妻はこの子だけは救おうと、列車で連行される途中、手紙を添えてこの赤ちゃんをある駅に置き去りにします。戦争終了後、生き残った妻はこの駅に子供を捜しに行きますが、まったくてがかりはつかめません。毎年、毎年捜しに行きますが、いつしか年老いて、精神を病み、捜すこともできなくなります。

偶然か必然か、成長した息子は、自身が出版した本がきっかけとなって母が自分を捜していたことを知るに至ります。そして、今度は息子が母を捜し始めます。思いつく限りの場所を捜し、最後に行き着いたのが精神病院。で、号泣シーンはここです。これもまた二人の会話や熱い抱擁シーンや大仰な音楽もありません(ボレロの前奏がただ静かにリズムを刻みます)。病院の中庭のベンチに一人座る老女の後ろ姿。そこに近づく息子。最初は手持ち無沙汰に老女の周りをうろついていますが、そのうち遠慮気味に隣に座ります。そして、ただ隣に座り続けます。抱きしめることもありません。(ああ、これを書いているだけで胸がいっぱいになってきました!)そしてここから一気にラスト17分のジョルジュ・ドンを一躍日本でメジャーにした有名な「ボレロ」のシーンへとつながります。ここで素晴らしいのが、この一連の再会シーンは長回し・ひきのワンカット(だったと記憶しています…)で描かれ、終始二人の後ろ姿のみというところです。涙あふれるアップのカットなど一切ありません!

ちなみにこの映画で私の一番”好きな”シーンというのは、上記再会シーン、ラストの圧巻ボレロは言うまでもないのですが、それ以外ではジョルジュ・ドン扮するソ連人ダンサー、セルゲイがパリの空港で亡命するシーンです… 余談ですが、ジョルジュ・ドンが演じたセルゲイは実在のバレエダンサー、ルドルフ・ヌレエフのことだと言われていますが、奇しくもドン氏が1992年11月にエイズで死去したわずか2ヶ月後にヌレエフ氏も同じくエイズで亡くなられています… (ジョルジュ・ドンについてはまたいつか別の機会に書きます)

「火垂るの墓」
製作:1988年 日本
監督:高畑勲
声の出演:白石綾乃 辰巳努
私的評価:★★★★☆ 80点

 
火垂るの墓 完全保存版 [DVD](左) / 原作!アメリカひじき・火垂るの墓 (新潮文庫)

「ひまわり」(原題 “I Girasoli”)
製作:1970年 イタリア
監督:ヴィットリオ・デ・シーカ
音楽:ヘンリー・マンシーニ
出演:ソフィア・ローレン マルチェロ・マストロヤンニ
私的評価:★★★★☆ 87点

 
ひまわり HDニューマスター版 [DVD](左) / ソフィア・ローレン プレミアムDVD-BOX(右)

「愛と哀しみのボレロ」(原題 “Les Uns et Les Autres”)
製作:1981年 フランス
監督:クロード・ルルーシュ
音楽:フランシス・レイ ミシェル・ルグラン
振付:モーリス・ベジャール
出演:ロベール・オッセン ニコール・ガルシア ジョルジュ・ドン 
ジェラルディン・チャップリン 他
私的評価:★★★★★ 90点


愛と哀しみのボレロ(完全版)

*ブログ『Days in the Bottom of My Kitchen』2010.08.27掲載

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